胃腸が弱い人の体質改善と身体づくり
胃腸に休息を
筋トレにもトレーニングと休息のバランスが大切なように、内臓にも休息が必要です。
内臓、特に胃腸は絶えず私たちが活動するためのエネルギーを生産するため、働き続けてくれています。
私たち20代から40代の現役世代は小さいころ、スポーツをやるなら朝食は欠かさず、三食きっちりと食べるよう口うるさく教えられて育ちました。
確かに成長期の身体には十分な栄養が欠かせません。特に毎日ハードな運動をこなすアスリートは尚更身体を酷使しますから、
普通に考えたら単純に一般人より多くの栄養を取り込むことが必要だと考えて当たり前。
しかし現在の研究結果では、こと成長期を過ぎた大人にとってはこの理屈がすべて正しいとは限りません。
胃腸は食べ物の消化を自動的にやってくれる反面、大量のエネルギーを消化そのものに要します。
身体づくりのため、三食またはそれ以上に食べていると、フル稼働の火力発電所のように胃腸は休む暇がなく、
ついにはそのエネルギー循環能力を大きく損なうほど深刻なダメージを負ってしまうのです。
肉体の持ち主が気づかぬうちに、疲弊していく内臓。
「腸は第二の脳」というワードを耳にしたことがある方は少なくないでしょう。
近年の研究で、肉体はもちろん、メンタル面の安定にも腸が大きく関わっていることが分かっています。
腸が疲弊すると、自律神経系やエネルギー生産、免疫作用に大きな問題が起こり、
風邪をひきやすくなったり、体力が目に見えて低下します。
ダンスの練習で、昔より踊りこみの後の疲労が激しいという人は、
加齢のせいだと片づけてしまわずに、まずは内臓の疲労を疑うべきだと思います。
とりわけ「いくら食べても太れない」と嘆いていた僕のような人は、
そもそもエネルギーがうまく取り込めない状態であるがゆえに、
カラダにとって必要なアミノ酸やエネルギーを取り出すために、筋肉が分解されてしまう「異化優位(カタボリック)状態」が
続いてしまっている可能性が高いのです。
そんな時は、身体がエネルギーを生産できる状態にあるかどうか、今一度身体の内側に問いかけてみる必要があるでしょう。
全ての人に当てはまるとは言えませんが、
僕の場合では朝食をお湯と体調を整える漢方、一部の生のフルーツのみにしてから、
日々の疲労感が格段にましになりました。
プチ断食というものも一時期流行りましたが、腸が全ての消化を完了し、機能が完全に回復するまで14時間ほどかかるといわれていますから、
夕食を20時だと仮定すると昼まで食事を抜くことは理にかなっています。
野生動物はきちんと朝食をとってから、万全の栄養状態で狩りに向かうわけではありません。
むしろ飢餓状態であるがゆえに内臓への負荷が減り、生命力や集中力が増進するからこそ狩りに臨めるというものです。
人間もある面では同じことが言えるのではないでしょうか。
今となっては中高時代、朝食後に必ず体調が悪くなったりめまいがしたり、おなかが緩くなったりしていたのを、むしろ栄養が足りないせいだと勘違いして、無理して朝ごはんにパンやトーストを余計に食べていたのが馬鹿らしく思えます。
朝食と血糖値
また別の側面では、消化能力に問題がなくとも、取り込んだ栄養素によって体内の血糖値コントロールに大きな負荷をかける場合があるといわれています。
僕の場合問題となっていたのは朝食で摂取する糖質や炭水化物(食物繊維の少ない濃縮還元のフルーツジュースや、トースト、ごはんなど)。
糖質を摂ると血糖値が上がり、インスリンが分泌されて血糖値を下げようとします。
急激に血糖値が下がると眠気に襲われ、また、血糖値の乱高下は血管壁を傷つけたりインスリンを分泌するすい臓に負担がかかったりします。
そうして徐々に体調不良やだるさ、集中力の欠如になやまされることになります。
いわゆる今流行りのグルテンフリー商品の多くは、小麦の加工製品によってもたらされる血糖値の乱高下を問題視して開発されたものです。
そういうものをうまく利用しつつ、
一度朝食を抜いてみて、体調に問題がない、むしろ集中力が向上した。と感じられた人は、
その後も朝食抜きを続けてみる、あるいは酵素が豊富で消化吸収に負荷をかけない生のフルーツなどのみを食べるようにすると良いと思います。
腸内細菌を助けよ
腸内細菌の主食は食物繊維です。
更に栄養面で内臓を助けるためには、
積極的に食事の際に野菜や発酵食品を食べ、更に乳酸菌飲料などを併用すると、
腸の活動のための増援部隊を腸内に送り込むようなものです。
腸内の善玉細菌にとってこの上ない援護射撃となるでしょう。
僕の場合は朝食のフルーツ、また昼と夜二食の中でとにかくできるだけサラダを食べるようにしています。
フルーツは皮付きのオレンジや、キウイ、野菜はブロッコリーや緑の葉野菜(ケールなど)をよく食べます。
野菜は種類の多さや質よりも結局量が大事であるということが分かっています。
確かに腸内細菌の気持ちになってみれば、たまにしか来ない高級食材の支援物資よりも、
基本的な栄養素を飢餓に陥ることがないように定期的に届けてもらえた方が助かるに決まっていますよね。
そして、追加の支援として三食の後にできるだけ乳酸菌飲料(『R-1』)を飲むようにし、
内臓の血の巡りや、水の巡り、気血の充実のため漢方(『加味帰脾湯』)を食間に必ず飲んでいます。
そのおかげか、チャレンジをはじめてから風邪になることが確実に減り、
仮になったとしても早く治るようになりました。咳を引きずったりすることもあまりなくなりました。
身体づくりは内側の健康から。
エネルギーの循環にかかわる内側の健康なしに理想の体型になることを夢見ても、
基礎工事やインフラ整備抜きにタワーマンションを建てようとしているようなものです。
以上、胃腸が弱い人の体質改善と身体づくりについて自分の基本的な考えと具体的取り組みを紹介させていただきました。
参考になれば幸いです。